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 1999年4月に20日にデモテープとして発売された『20's CALBORN』がこの度、CDとして再発されることになった。

 卓偉が上京後に結成し、1994から活動をしていたMAGGIE MAEが98年末のライブで突然の解散宣言を発表。そこからTAKUIとしてのソロ活動がスタートをした。

 MAGGIE MAEというバンドは当初パンクバンドからスタートし、徐々に力量が上がるにつれ音楽性も豊かになり、三枚目の『トリプルテンパイ』ではほとんど初期のパンクナンバーは影を潜めたスタイルに変化していた。

 そして解散から約4カ月後にリリースされたこの『20's CALBORN』は更に音楽性がヴァラエティ豊かになり、歌詞の完成度、歌唱力も前作とは比較にならないほどの成長をみせており、バンド形態では出来なかったジャンルを見事消化しているといえるだろう。

 このアルバムに収録されたほとんどの楽曲はバンド時代から存在しており、メンバーにも聴かせる機会もなかったもので、20~30曲ほどのストックの中から厳選したもの。時間とスタジオミュージシャンの関係もあり、これでも自分のやりたいことを押さえているそうで、2007年9月30日に行われたライブ「過去の僕も知ってください☆夕べのカルボーンとNUCLEAR+ちゃんすわ☆」でも「ROLL UP FOR THE UNIVERSE」、「BADLY NOOOO!!!!」、「TO THE MAX」も収録する予定だったと発言していた。

 本人的にはそういった不満もあるかもしれないが、若干二十歳の新人がこれだけの曲が書け、これほどまで歌え、しかもセルフプロデュースなのは驚異的な事実であり、これはひとつの事件でもある。MAGGIE MAEというバンドで培った五年間の日々が決して無駄ではなかったはずだ。

 ちなみにタイトルの「カルボーン」とは骨型のカルシウムのお菓子のことで“20歳の骨格”となる意味を込められて名付けられた。


 尚、テープ版ではA、B面の最後にアレンジャーでもある竹内彰氏との架空のラジオ番組が収録され、前者にはCD版には惜しくも未収録となった名曲「カップル」が演奏されている(新アレンジで再録希望!!)。

[A→FRIED 20's SIDE]

01.100万回生きたねこ

 
ファンからプレゼントされた佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』にインスパイアを受けたリリカルな歌詞がエモーショナルな名曲。これについて後にブログで卓偉はこう述べている。

「あの絵本には何気に、わがままな男の生き様が描かれていて、それを自分に置き換える事が出来たから感動したんだと思う。」

これまでのMAGGIE MAEのアルバムオープニング曲はすべてアップテンポであったのに対し、ソロ一作目となるこのアルバムでは意表をついての幻想的なロッカバラード。アコギのストロークとそれに絡むエレキのフレーズが切なさを強調している。
 
02.トライアングル

 のちにシングルカットされ、デビューシングルとなった楽曲。歌詞は結婚詐欺師に騙される女性の心情を描いており、MAGGIE MAE時代から発表されてきた「what do you mean?」との姉妹作であり、ほぼ同時期に作ったと思われる。
 
結婚詐欺師という奇抜な設定に目が行きがちだが、最終的には“人間、落ちて行ったら結局、誰も一人だよ”というテーマが根底に込められている。これは「ALL ALONE」のメッセージと同じであり、昔も今も変わらない卓偉のポリシーが伺えるのではないだろうか。
 
デジタルサウンドを全面に押し出しており、イコライジングされたヴォーカルも新鮮。間奏の部分がCD版と大きく異なり、こちらはアラビアンチックなメロディや、鳥のさえずり声をサンプリングしている。


03.PASSION HIP LADY

 スティーヴィー・サラスを意識した様なハードファンク色の強い16ビートナンバー。既にこの時期には存在していた「BADLY NOOOO!!!!」も同じファンクチューンなので、収録を見送ったのだろうか。

 なんと言っても卓偉のハイトーンボイスが十二分に味わえる傑作で、特にサビでのファルセットの伸びは驚異的。ただ、これは全曲に通じることだが、ドラムが打ち込みでなければ更に強力なグルーヴ感を打ち出せたように思える。歌詞がエロティックなのも初の試みか。

04.6-CASTER-9

 まるでフィフティーンズのバンドかと錯覚してしまうギターフレーズから幕を開けるロカビリーテイスト溢れる一曲。それゆえに「DRIVE MY LIMO」の萌芽を読みとるのは邪推だろうか。

間奏後にレゲエチックになったり、サビではメロコアビートになったり、ラストはブルージーにシメたりと、展開が目まぐるしい“ロックンロール”である。

05.BOYS LOOK AHEAD

 デビューシングル「トライアングル」のカップリングに選出される楽曲。2005年の野音ライブにて“THE YELLOW MONKEYを意識した”、と卓偉が公言した様に彼らを思いださずにはいれないシャッフル・リズムが気持ちよいナンバー。

 歌詞は映画『天空の城ラピュタ』をモチーフにしながらも、“Boys Be Anvicious”=少年よ、大志を抱け、というメッセージが卓偉独自の感性で見事に具象化されている。


後編[B→BOILED 20's SIDE]へ続く。


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『僕は君のオモチャ』  全曲解説 part2

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●収録曲
01.恋の一方通行
02.そのままで
03.It's up to you(きみしだい)

↓ここから
04.ABSTRACT(完全な相関性)
05.僕らのヒーロー
06.僕は君のオモチャ
07.テレビジョン


04.ABSTRACT(完全な相関性) 作詞:黒沢健一 / 作曲:中島卓偉

 この曲もリフが逸品。2分58秒という短さも潔い。
ブルージーな味わいをもった単音ギターリフが軸となったロックンロールなアプローチをとっている。
 
 メロディ自体は2パターンしかなく、この曲の場合、主役はリフであり、メロディは二の次にされているきらいがある。よって、アルバム中、最も好き嫌いが分かれそうだ。間奏の「tururu~」がフックとして絶妙な効果をもたらしている。

05.僕らのヒーロー 作詞:木下裕晴 / 作曲:中島卓偉

 アルバムの中で最もシングル向きのポップ・チューン。PVも制作されている。卓偉には珍しくニューウェーヴ・チックなアレンジが施されている。以前だったらただの8ビートで処理されたかもしれないバッキング・アレンジに“いま”が出た。
 
 ジョーイ・ラモーン、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ジョニー・サンダース、ジョン・レノンという(歌詞の中にも登場する)ロックスター達に救いを求めるかの様な歌詞が心を打つ。この関係はそのまま中島卓偉とファンの距離感に置き換えることが可能だ。

06.僕は君のオモチャ 作詞:宮原芽映 / 作曲:中島卓偉

 スマッシング・パンプキンズが得意としそうなメランコリーなグランジサウンドが魅力的な楽曲。歌詞が最も素晴らしく、子供のころ大事にしていたオモチャは大人に成長するにつれて忘れ去られるが、心の中では大きな存在であり続けるという、誰しもが共感するテーマが描かれている。
 かつてTAKUIを聴いていたが、もう聴かなくなった、離れてしまったリスナーには是非聴いてもらいたい楽曲である。
―僕は君のイヤホン 君の耳で歌っている 素敵に笑えるように それだけでいつか 忘れてもいい―

07.テレビジョン 作詞:中島卓偉 / 作曲:中島卓偉

 アルバムの最後を締めくくるのは80年代のU2のような淡々としたシンプルな楽曲。陰鬱で湿っぽいこの「テレビジョン」は歌詞も自虐的かつ痛々しい。しかし、それだからこそ伝わる音楽もある。もはや「ひとりになることが怖かった」のように「痛い」「淋しい」と声を張り上げて叫べなくても、リスナーに届く表現方法を中島卓偉は手にすることができた。
 
歌詞の内容は「メッセージ」と同じく“都会暮らしの中で忘れてしまった無垢”を歌っている。そういう意味では姉妹作かもしれないし、「メッセージ」と「テレビジョン」は陽と陰、ネガとポジの対極の関係性にある。

 冒頭でも書いた様にこれまで一人称を用い歌詞が描かれていた彼が、このナンバーでは始めて自らを3人称(テレビ)に例えて世界観を表現している。
(以下、卓偉談)「夜中にスクランブル交差点にぼーっと立ってて、どうしたら伝えたいことをもっと表現できるかなぁ、って。あの街って全然眠らないじゃないですか?4つのハイビジョンに全部、違う映像が流れていて、目を閉じると街のノイズが聞こえてくる。そんな中で作ったんです。テレビジョンは人やモノや風景を映すことができても、自分を映すことができない。僕自身も自分のライブは一生、見ることが出来ない。そういう気持ちを託したかったんですね」。

 都会の喧騒に紛れて初期衝動を見失ってしまった“僕”は己を壊せないし、映せないし、動けない。そして・・・叫べなくなった。これはNIRVANAを聴いて心から「叫ぶこと」を知ったミュージシャン・中島卓偉の痛烈なる自虐ソングなのかもしれない。
 
しかし、ネガティヴのまま中島卓偉は終わらない。かつて「FAR EASTERN」の後に「SHINING DAYS」があったように。「ひとりになることが怖かった」の後に「HELLO MY FRIENDS」があったように。

「テレビジョン」のアンサーソングが秋に発売になるフルアルバムに収められていることを期待させるようにアルバムは唐突に幕を閉じる。テレビの雑音が終わるかのように・・・

番外編《メッセージとテレビジョンの歌詞比較》

● 忘れてしまった空の青さ(『メッセージ』)→あの青い夏の日の 空の色を思い出せなくなった(『テレビジョン』)
● 大したことのない自分を抱きしめられたら(『メッセージ』)→僕はただのテレビジョン(『テレビジョン』)







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『僕は君のオモチャ』  全曲解説 part1

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「時間が経ったらまた壊しますよ、中島卓偉でさえも」。

 前作『傘をささない君のために』の特典DVDのスペシャルインタヴューの最後に彼はこう語っていた。本作を聴いた後、誰しもがこう思うだろう・・・「あぁ、中島卓偉でさえも壊したな」と。

 前作では「歌」に重点を置いたサウンドアプローチが選択されていたが、今回はリフをメインにする形で全曲が制作されているという。かつてバンドサウンドを追求していた時期であっても案外、リフを中心に据えた楽曲は少なかった。
 この作風を導入したのは森重樹一が参加しているThe DUST’N BONEZの影響かもしれないし、古くを辿ればローリングストーンズの影響かもしれない。

 とにかく「うたを追求したい」と、昨年は言っていたアーティストが、「今年はギターリフがテーマ」、と言えるのが面白いし、卓偉の強みでもある。
 {04}は、そういった変化を好み、常に壊したいというポリシーを持った中島卓偉を元L⇔Rの黒沢健一氏が巧みに描写したナンバーだ。そう、中島卓偉はリピートを嫌い、何かを壊してビートを探す・・・。
 2000年に「UP TO DATE」でシーンに打ち出したメッセージは今でも健在だ。

 歌詞の方は外部の作詞家が手掛けたものが4曲を占めている。それもあってか歌詞に3人称を扱ったものが多く、{03}ではサイコストーカー、{06}ではオモチャ(ぬいぐるみ)といったものを主人公に据えた内容が目に付く。それに引き寄せられる形で卓偉も{07}では初めて自分を“テレビジョン”という“モノ”に例えるなどの影響がみられる。
 インディーズ時代から「100万回生きたねこ」ではネコ、「what do you mean?」では結婚詐欺師、「too much business」ではサラリーマンに例えてリリックを書いてきたが、それはポール・マッカートニーが「paperback writer」で作家を主人公にした楽曲があるように、ポップミューックシーンでは古くから存在する常套手段である。しかし、モノに例える歌詞はそれに比べ、ホンの数えるほどしかないのではないか。
 ラストに収められている「テレビジョン」の歌詞はこれから中島卓偉が向かおうとしているフロンティアへの布石となる重要な一曲かもしれない。

●収録曲
01.恋の一方通行
02.そのままで
03.It's up to you(きみしだい)
04.ABSTRACT(完全な相関性)
05.僕らのヒーロー
06.僕は君のオモチャ
07.テレビジョン


01.恋の一方通行 作詞:中島卓偉 / 作曲:中島卓偉

これぞ2007年型「UP TO DATE」。単純明快なギターリフから始まるアルバム1曲目はTAKUIらしいロックナンバー。リフと印象的な単語を全面に押出しているので最も本作を象徴した曲であると言えるだろう。今後のライブでも起爆剤となりそうだ。タイトルはザ・フーの「恋のピンチヒッター」、ザ・モンキーズの「恋の終列車」など60年代バンドに見られたチープ感を意図的に演出している。

02.そのままで 作詞:中島卓偉 / 作曲:中島卓偉

60年代のモータウングループ、ロネッツの『ビーマイベイベー』を思わせるドラムフレーズから展開される大陸的な広がりを持ったバラード。次第に盛り上がるアレンジが施されており、ラストはオーケストレーションも合いまって感動的な作品に仕上がっている。

03.It's up to you(きみしだい)作詞:片寄明人 / 作曲:中島卓偉

これぞ“中島卓偉流・ダークレゲエ“”。
が、その割りには沢田研二の『カサブランカ・ダンディ』にも通じる昭和歌謡曲のムードが漂う。ヴォーカルのフェイクが聞きどころで、初っ端のマイケルジャクソン風の遠吠えや間奏でのラッパー風の煽りも聴いていて楽しい。


後半(part2)へgo!!

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更新が遅れて申し訳ない。かなりレヴューを書くのに時間がかかってしまった。その分かなり濃い評論が完成したので十分に楽しんで読んでいただきたい。ではB面、ということで7曲目~12曲目+ボーナストラックを紹介していく。

07. 傘をささない君のために

本作において最も冒険的な一曲。まさかソウル・ナンバーだとは思ってもいなかったので意外だった。むしろ最初は戸惑ってしまった。私自身、こういったAORとも呼ばれるジャンルには手をつけたことがなかったからだ。自らの音楽的教養の無さに唖然としつつも、リピートする内にこの独特な温かみのある楽曲に心を奪われていったのも事実。
 B面ラスト・6曲目の『雨が降る』で雨に打たれ、7曲目のこの曲で聴く人に傘をさしてあげる、そんなストーリーが構築されている様だ。歌詞もTAKUI作品の中で顕著に見られた、男気溢れるサディスティックな言葉使いではなく、母性的な優しさを全面に押しだした内容になっている。「雨が降る」で16歳の頃の自分=少年時代=TAKUIと決別し、この「傘をささない君にために」で現在の自分=中島卓偉と対峙する。それは前アルバムに収められた「鼓動」の内在的な思想、“少年と大人の狭間で揺れ動く心理的なやりとり”を二分化させたものだろう。「雨」に降られたのは「君」ではなく、TAKUI本人だったのではないのか。そしてびしょ濡れの姿を「傘」で擁護する中島卓偉。過去の自分を客観視することができる精神力、それは紛れも無く大人への入り口だ。

「たったひとり傘もささずに ずぶ濡れになった強がりを誰も責めはしないから」

08. イミテイション・ボーイ

曲自体が「ピアス」のアンチ・テーゼとして機能している。それは「本気で恋してんのに まるで ボクはアクセサリー 気まぐれに 着け変えられ いつしかどこかに棄てられる」という歌詞から読み取れる。2001年、「ピアス」発表時、卓偉はこのシングルについてこう語っていた。「数あるアクセサリーの中でピアスはその人の皮膚を貫通し、一体化するもの。これを男女の恋愛関係に例えた」と。そう、あなたのピアスになりたい、と歌っていた卓偉が、「都合のいいオモチャ」としてかつてのロック・スター像を戯画化したのだ。しかし、「ピアス」を否定している訳ではない。第一作詞は加藤ひさしさんである。そして先月一夜限りで復活したオールナイトニッポンでも「ピアスは最高傑作」と、自負していたではないか。サウンドも60年代ロック+ジュリーが歌いそうな歌謡曲である。自らのイメージを払拭しようとする中島卓偉を窺える一曲。

「本気で恋してんのに まるで ボクはアクセサリー 気まぐれに 着け変えられ いつしかどこかに棄てられる」

09. 僕に絶えず呼びかける

懐古にも似た哀愁と現状から一歩踏み出そうとする力強さが同居する楽曲。この現在の卓偉の心境にピッタリな歌詞は本人が書きたくても、あまりにストレートすぎて書けなかった題材だと思う。ビリー・ジェエルや、ポール・マッカートニーが得意とするタイプのバラードだろう。サビのオルガン(?)が幻想的な雰囲気を味付けしている。歌モノとしては文句なしの完成度だろう。


「定められたルールよりも 失敗という財産を いつも抱いて進みたい 歩みは遅くとも」


10. 「ヒキガネ」

技巧的なギターのカッティングと、うねるようなベースラインがかっこいいラテン・テイストナンバー。チャイニーズ・チックな要素も入っている気がする。その全てを統制するのが表現力の高いヴォーカル。やはりどんなジャンル曲も歌えるシンガーなのだ。歌詞はエロティックに徹し、「ランブレッタ」や「PASSION HIP LADY」等、卓偉が書く露骨な「エロさ」ではなく、男女の駆け引きとも言えるアダルトなエロスが行間から感じられる。アダルトかつオリエンタルなムードにカタルシスを味わうこと間違いなし。

「憂鬱になれるほど好きだよ ひさまずく Ooh~君だけに」
(注*『Ooh~』って部分が昭和っぽくてなんか好き)。

11. 愛しい人よ

個人的に本作品のベスト・トラック。本人も気に入っているそうで、卓偉らしいのに卓偉らしくないメロディラインが新鮮。オーラス的な曲なのにアレンジが大袈裟でない所が佐橋プロデューサーらしい。恐らく次のライブのラストナンバーであろう(そうであってほしい)。これほどまで素晴らしい名曲が含まれているアルバムがオリコン初登場36位なのは悲しい。

「そっと後ろから抱きしめてた それしか出来なかった僕に」

12. 'Cause I MISS YOU

まさかアルバムのラストを飾る曲がこの「'Cause I MISS YOU」とは思いもしなかった。従来のパターンならラストは11曲目の「愛しい人よ」がベターだった筈だ。それほど、この曲には思いいれがあるのだろう。
A面のラストが「雨が降る」、そしてB面のラストが「'Cause I MISS YOU」。この二曲が密接な繋がりを持っているのは「雨が降る」のアウトローにこの「'Cause I MISS YOU」の映画音楽的な伴奏のストリングスが挿入されているので明瞭である。詞の世界観も悲恋をテーマにしているポイントは同じであるので、一連のコンセプトが探し出せそうだ。


「傘の花に肩を押され 僕は何を探してるのだろう」


13「ビルボードで鳴くカナリア(GOTA Re-mix)」ボーナス・トラック。通常版のみ収録。

シンプリー・レッドで活躍し、世界的な評価も高いドラマー・屋敷豪太氏によるリミックス・ナンバー。予想に反し、原曲に忠実なリミックスになっているので聞きやすく仕上がっている。個人的にはオリジナル版よりもこちらの方が好みである。ボーナス・トラックなので、あくまでもお遊び的な一曲である。本編ラストは'Cause I MISS YOU」であることを頭においてこの楽曲を聴くべし。

卓偉は2002年にロンドンに滞在した際、豪太氏と出会い、いつか仕事をしたいとFCの会報で語っていた。なので、今回の豪太氏のゲスト・ドラマーとしての参加や、リミックス作業の着手は感無量だろう。豪太氏はロンドン在住なので、卓偉の次回作は彼の夢であるロンドン・レコーディングであってほしいと願う。

以上でアルバムは幕を閉じる。アルバムの総評としては第一に聞きやすさを念頭において作られているのが伺える。それでいて、単に「ロック」というジャンルに収まれない曲が存在し、中島卓偉本人の意欲も感じられるアルバムだ。

しかし、卓偉は「TAKUI時代にやれなかったことは全てやり切った」と、述べていたが果たして本当にそうだろうか。まだまだ、未開発な音楽ジャンルが彼の中で眠っているはずだ。次の作品では本格的なジャズやボサノヴァ、レゲエなどありとあらゆる音楽に貪欲に挑戦して欲しい。なぜなら私は中島卓偉の声はどんな曲の上にも乗ることができるルールレスな魅力を秘めていると思うからだ。

次回作への期待も膨らむ、中島卓偉のファースト・アルバム。未聴の人は是非、この世界にどっぷり浸かっていただきたい。

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とうとう発売になった中島卓偉1stアルバム『傘をささない君のために』。TAKUIとしての活動に区切りをつけ、中島卓偉と名乗ってまで表現したい音楽がここにはある。

今回は予告通りにアルバム全曲レヴュー行う。卓偉はインディーズ以来、アルバム12曲をA面・B面と分けて構成している。アナログレコードファンの卓偉らしいやり方だ。
よってレヴューは1~6曲目をA面とし、この記事で紹介。後半の7~12(13)曲目をB面として次の記事で発表する。また、曲ごとのレヴューの最後に、その歌の中で最も“びびっとキタ”一節を掲載したのでそこも注目しながら読み進めてもらいたい。

A面
01. 誰かの声
再生と同時に卓偉の1オクターブ低い声から始まるノスタルジックなナンバー。この曲を耳にすると「共鳴野郎」を思い出す。まさに“大人になるためのメッセージ”というイベントのテーマにこれほどまでに適したマテリアルは無かっただろう。前作『VIVAROCK』のラストを飾る曲「福岡」に対し、この「誰かの声」の歌いだしは「東京の夕暮れが~」から始まる。そう、前作とリンクしているのだ。それはTAKUI→中島卓偉への架け橋的な意味を持っているのだと思う。この名曲が『ALWAYS 三丁目の夕日』の主題歌にならなかったことは日本映画史にとって致命傷だったという気さえする。

「『大人になることが こんなにもせつない』」

02. 雪に願いを
TAKUIのラストシングルでもあり、実質的には中島卓偉が産声を上げた曲。よって我々リスナーにとって、記念碑になるだろう存在。[HELLO MY FRIENDS / 太陽が沈む前に]の次にこの曲が発表された時、多くファンはこの温度差の違いに戸惑ったはずである(実際に夏の歌→冬の歌であるが)。しかし、このアルバム単位で聞くと全く違和感はない。
 「ふわり」という“和”を意識した歌詞と柔らかい音作りが絶妙にマッチし、優しさと抑制を誘う楽曲である。

「歩道橋の上できみと見上げる 冬の夜空と雪に願いを」

03. 月さえ眠る夜に
タカハシアキラ氏の提供作であるが、まるで中島卓偉作曲であるかの様に、自分のものにしている吸収力には感服。本作の中で最もアコースティック・ギターの音が良く録れている。佐橋氏はどうやら多重コーラスを器用に操るプロデューサーであると思う。このアルバムからシングル・カットされるなら間違いなくこの楽曲だろう。PVも制作され、幻想的な内容に仕上がっているので必見。

「明日が近づいても 黙ったままでも 君の事わかってあげたいんだよ」

04. メッセージ
以前、シングル発売時にこのブログで特集を組んだので詳しくはそちらを読んでいただきたい。
中島卓偉の1stシングルであり、初の先行シングル。サビの裏声が大きな話題になったナンバーだが、純粋にメロディーが美しいので一級のポップ・ソングとして申し分ない出来。歌詞の中にある「あの日と同じ風のメロディー」とは、ビートルズの「NOWHERE MAN」のこと。卓偉が幼少期によく口ずさんでいた曲だそうだ。イントロは英国を代表するロックバンド/ザ・ポリスを髣髴させるアルペジオである。
アルバムを通して聴くと、やはりこの歌がシングルとしてリリースされて良かったと思う。だが、この曲が約3000枚しか売れなかったのは日本のミュージックシーンにとっての功罪であるのは確かだ。

「“大したことのない自分を抱きしめられたら 忘れてしまった空の青さきっと見つかるさ”」


05. BLACK HOLE

曲調は明るいのに歌詞が痛い。そのためか、このコントラストが際立っていて面白い。詞の内容がこのブログに全文掲載したい程に痛く、それでいて素晴らしい歌詞である。ここまで「弱さ」を全面に押出せたのは「中島卓偉」と名乗ることができたからだろう。今回、様々な作家が作詞に関与したが、やはり彼の歌詞が一番好きだ、と思わせてくれる。シャッフルのリズムに乗せ、サウンドの色付けは後期ビートルズ・チック。意外にもサビから始まる楽曲は卓偉作品においては珍しい。

「お前、変わったよなって俺を知る奴は言う 『そんな頑張っちゃってどうすんの?』」



06. 雨が降る
A面ラストを飾る曲は卓偉が16歳の頃に作った叙情的なナンバー。過去に「FAR EASTERN」や「ALL ALONE」「ALIVE」などと同系統の曲調だが、卓偉の表現力が決定的に違う。もはやデビュー当時から桁外れの実力を兼ね備えたヴォーカリストだったが、ここにきてまた一段とレベルを上げたようだ。恐るべし・中島卓偉。16歳の頃の曲らしく、コード進行は他に比べてスタンダードだが、その分無駄なギミックなしの裸の声が聴ける。16歳と27歳・・・10年の時を得て発表されたこの曲にどんな深い意味があるかはまだわからない。しかし、A面の最後に配置された楽曲なので彼にとっては大切な意味合いを含んでいるのだろう。

「BLACK HOLE」で袋小路に迷い込み、この曲で雨に降られる・・・。卓偉はコンセプト・アルバムではないと言うが、この繋がりは策略的である。雨に降られた主人公のその後は・・・?
答はB面の一曲目に隠されている。

「もう帰れる場所はない、捻じれたフィルム巻き戻すように どんな罪でも 嘘をついてもいいよ。」

ここでA面は幕を閉じる。次の記事ではB面を大特集するので乞うご期待!!
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プロフィール
 

アキオ

Author:アキオ
びびっ!とキタものを Vivid(鮮やかに) 紹介していきます☆★


*中島卓偉*プロフィール

1978.10.19 / 福岡県出身/ A型

バンド活動を経て、“TAKUI”として1999年ソロデビュー。

抜群の歌唱力と圧倒的なライヴ・パフォーマンス、そして稀代のソングライティング能力には業界内・外からも定評がある。

●最新シングル
『3号線』
発売中!

●デビュー10周年記念アルバム『BEST YOURS』
~TAKUI NAKAJIMA Anniversary 1999-2008~
発売中!!←はじめて卓偉の音楽に触れるひとにオススメ!ぜひ聴いてみて♪

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