中島卓偉 音源レヴュー |
2007/05/13(日) 04:32
『僕は君のオモチャ』 全曲解説 part2
●収録曲
01.恋の一方通行
02.そのままで
03.It's up to you(きみしだい)
↓ここから
04.ABSTRACT(完全な相関性)
05.僕らのヒーロー
06.僕は君のオモチャ
07.テレビジョン
04.ABSTRACT(完全な相関性) 作詞:黒沢健一 / 作曲:中島卓偉
この曲もリフが逸品。2分58秒という短さも潔い。
ブルージーな味わいをもった単音ギターリフが軸となったロックンロールなアプローチをとっている。
メロディ自体は2パターンしかなく、この曲の場合、主役はリフであり、メロディは二の次にされているきらいがある。よって、アルバム中、最も好き嫌いが分かれそうだ。間奏の「tururu~」がフックとして絶妙な効果をもたらしている。
05.僕らのヒーロー 作詞:木下裕晴 / 作曲:中島卓偉
アルバムの中で最もシングル向きのポップ・チューン。PVも制作されている。卓偉には珍しくニューウェーヴ・チックなアレンジが施されている。以前だったらただの8ビートで処理されたかもしれないバッキング・アレンジに“いま”が出た。
ジョーイ・ラモーン、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ジョニー・サンダース、ジョン・レノンという(歌詞の中にも登場する)ロックスター達に救いを求めるかの様な歌詞が心を打つ。この関係はそのまま中島卓偉とファンの距離感に置き換えることが可能だ。
06.僕は君のオモチャ 作詞:宮原芽映 / 作曲:中島卓偉
スマッシング・パンプキンズが得意としそうなメランコリーなグランジサウンドが魅力的な楽曲。歌詞が最も素晴らしく、子供のころ大事にしていたオモチャは大人に成長するにつれて忘れ去られるが、心の中では大きな存在であり続けるという、誰しもが共感するテーマが描かれている。
かつてTAKUIを聴いていたが、もう聴かなくなった、離れてしまったリスナーには是非聴いてもらいたい楽曲である。
―僕は君のイヤホン 君の耳で歌っている 素敵に笑えるように それだけでいつか 忘れてもいい―
07.テレビジョン 作詞:中島卓偉 / 作曲:中島卓偉
アルバムの最後を締めくくるのは80年代のU2のような淡々としたシンプルな楽曲。陰鬱で湿っぽいこの「テレビジョン」は歌詞も自虐的かつ痛々しい。しかし、それだからこそ伝わる音楽もある。もはや「ひとりになることが怖かった」のように「痛い」「淋しい」と声を張り上げて叫べなくても、リスナーに届く表現方法を中島卓偉は手にすることができた。
歌詞の内容は「メッセージ」と同じく“都会暮らしの中で忘れてしまった無垢”を歌っている。そういう意味では姉妹作かもしれないし、「メッセージ」と「テレビジョン」は陽と陰、ネガとポジの対極の関係性にある。
冒頭でも書いた様にこれまで一人称を用い歌詞が描かれていた彼が、このナンバーでは始めて自らを3人称(テレビ)に例えて世界観を表現している。
(以下、卓偉談)「夜中にスクランブル交差点にぼーっと立ってて、どうしたら伝えたいことをもっと表現できるかなぁ、って。あの街って全然眠らないじゃないですか?4つのハイビジョンに全部、違う映像が流れていて、目を閉じると街のノイズが聞こえてくる。そんな中で作ったんです。テレビジョンは人やモノや風景を映すことができても、自分を映すことができない。僕自身も自分のライブは一生、見ることが出来ない。そういう気持ちを託したかったんですね」。
都会の喧騒に紛れて初期衝動を見失ってしまった“僕”は己を壊せないし、映せないし、動けない。そして・・・叫べなくなった。これはNIRVANAを聴いて心から「叫ぶこと」を知ったミュージシャン・中島卓偉の痛烈なる自虐ソングなのかもしれない。
しかし、ネガティヴのまま中島卓偉は終わらない。かつて「FAR EASTERN」の後に「SHINING DAYS」があったように。「ひとりになることが怖かった」の後に「HELLO MY FRIENDS」があったように。
「テレビジョン」のアンサーソングが秋に発売になるフルアルバムに収められていることを期待させるようにアルバムは唐突に幕を閉じる。テレビの雑音が終わるかのように・・・
番外編《メッセージとテレビジョンの歌詞比較》
● 忘れてしまった空の青さ(『メッセージ』)→あの青い夏の日の 空の色を思い出せなくなった(『テレビジョン』)
● 大したことのない自分を抱きしめられたら(『メッセージ』)→僕はただのテレビジョン(『テレビジョン』)
●収録曲
01.恋の一方通行
02.そのままで
03.It's up to you(きみしだい)
↓ここから
04.ABSTRACT(完全な相関性)
05.僕らのヒーロー
06.僕は君のオモチャ
07.テレビジョン
04.ABSTRACT(完全な相関性) 作詞:黒沢健一 / 作曲:中島卓偉
この曲もリフが逸品。2分58秒という短さも潔い。
ブルージーな味わいをもった単音ギターリフが軸となったロックンロールなアプローチをとっている。
メロディ自体は2パターンしかなく、この曲の場合、主役はリフであり、メロディは二の次にされているきらいがある。よって、アルバム中、最も好き嫌いが分かれそうだ。間奏の「tururu~」がフックとして絶妙な効果をもたらしている。
05.僕らのヒーロー 作詞:木下裕晴 / 作曲:中島卓偉
アルバムの中で最もシングル向きのポップ・チューン。PVも制作されている。卓偉には珍しくニューウェーヴ・チックなアレンジが施されている。以前だったらただの8ビートで処理されたかもしれないバッキング・アレンジに“いま”が出た。
ジョーイ・ラモーン、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ジョニー・サンダース、ジョン・レノンという(歌詞の中にも登場する)ロックスター達に救いを求めるかの様な歌詞が心を打つ。この関係はそのまま中島卓偉とファンの距離感に置き換えることが可能だ。
06.僕は君のオモチャ 作詞:宮原芽映 / 作曲:中島卓偉
スマッシング・パンプキンズが得意としそうなメランコリーなグランジサウンドが魅力的な楽曲。歌詞が最も素晴らしく、子供のころ大事にしていたオモチャは大人に成長するにつれて忘れ去られるが、心の中では大きな存在であり続けるという、誰しもが共感するテーマが描かれている。
かつてTAKUIを聴いていたが、もう聴かなくなった、離れてしまったリスナーには是非聴いてもらいたい楽曲である。
―僕は君のイヤホン 君の耳で歌っている 素敵に笑えるように それだけでいつか 忘れてもいい―
07.テレビジョン 作詞:中島卓偉 / 作曲:中島卓偉
アルバムの最後を締めくくるのは80年代のU2のような淡々としたシンプルな楽曲。陰鬱で湿っぽいこの「テレビジョン」は歌詞も自虐的かつ痛々しい。しかし、それだからこそ伝わる音楽もある。もはや「ひとりになることが怖かった」のように「痛い」「淋しい」と声を張り上げて叫べなくても、リスナーに届く表現方法を中島卓偉は手にすることができた。
歌詞の内容は「メッセージ」と同じく“都会暮らしの中で忘れてしまった無垢”を歌っている。そういう意味では姉妹作かもしれないし、「メッセージ」と「テレビジョン」は陽と陰、ネガとポジの対極の関係性にある。
冒頭でも書いた様にこれまで一人称を用い歌詞が描かれていた彼が、このナンバーでは始めて自らを3人称(テレビ)に例えて世界観を表現している。
(以下、卓偉談)「夜中にスクランブル交差点にぼーっと立ってて、どうしたら伝えたいことをもっと表現できるかなぁ、って。あの街って全然眠らないじゃないですか?4つのハイビジョンに全部、違う映像が流れていて、目を閉じると街のノイズが聞こえてくる。そんな中で作ったんです。テレビジョンは人やモノや風景を映すことができても、自分を映すことができない。僕自身も自分のライブは一生、見ることが出来ない。そういう気持ちを託したかったんですね」。
都会の喧騒に紛れて初期衝動を見失ってしまった“僕”は己を壊せないし、映せないし、動けない。そして・・・叫べなくなった。これはNIRVANAを聴いて心から「叫ぶこと」を知ったミュージシャン・中島卓偉の痛烈なる自虐ソングなのかもしれない。
しかし、ネガティヴのまま中島卓偉は終わらない。かつて「FAR EASTERN」の後に「SHINING DAYS」があったように。「ひとりになることが怖かった」の後に「HELLO MY FRIENDS」があったように。
「テレビジョン」のアンサーソングが秋に発売になるフルアルバムに収められていることを期待させるようにアルバムは唐突に幕を閉じる。テレビの雑音が終わるかのように・・・
番外編《メッセージとテレビジョンの歌詞比較》
● 忘れてしまった空の青さ(『メッセージ』)→あの青い夏の日の 空の色を思い出せなくなった(『テレビジョン』)
● 大したことのない自分を抱きしめられたら(『メッセージ』)→僕はただのテレビジョン(『テレビジョン』)
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やっぱ卓偉ファンならあのラストシーンで「誰かの声」が流れてきますよねぇ~♪同志がいて僕も嬉しいです!