久しぶりに映画館へ『スルース』という作品を観にいきました。終始、密室でストーリーが展開するミステリーです。リメイクなので、オリジナル版である『探偵/スルース』がますます観たくなりましたね。DVD化を希望!
マイケル・ケインの演技は相変わらず最高かつサイコパス。ジュード・ロウもセクシーだった。
この二人が騙し合うんだけど、いつしかホモセクシャルな関係に見えてくるのがミソ。上映時間も約90分なのでおすすめです。
やっぱり映画はいいね。二時間だけ別の世界へワープさせてくれる。ストレス社会にはもってこいの文化です!!
それにしても、ただならぬ悪臭を漂わすオヤジが館内にいて不愉快でした。
「ここは映画館だぜ!」
隣の席に座っていた男の人、御愁傷様です。
びびっと★評価 ★★★☆☆
『ジョン・Q 最後の決断』
【製作年】2002年
【製作国】アメリカ
【監督】ニック・カサヴェテス
【出演】デンゼル・ワシントン/ロバート・デュヴァル/ジェームズ・ウッズ 他
●あらすじ●ジョンの息子が心臓病で倒れ、手術が必要と診断された。しかし、ジョンの保険は会社が勝手に内容を変更していたため適用されず、病院からは退院を勧められた。息子の容体がどんどん悪化し、我慢の限界に達したジョンは、病棟を占拠し、息子の手術を要求する…。
アメリカの医療問題を鋭くメスで切り取った作品。ヒューマンドラマとサスペンスと社会派ドラマがバランス良く盛り込まれており、見応えがあった。
デンゼル・ワシントン演じるジョンは型破りな面もあるが、動機が動機だけに悪いヤツには全然見えない。悪態もつかない、非常に紳士的な犯人。その良心的なイメージを感じ取ったのか、人質達もジョンに協力的なのがどこか可笑しかった。
上記の設定も含めて話が上手くいきすぎていたり、冒頭の自動車事故のシーンがあまりにも強引すぎるなどあるのだが、そこは目を瞑ろうではないか。「ありえない!」はエンターテイメントにナンセンス。非日常な世界観が嫌いな人は新聞のニュース欄を読めばいいのだ。
老刑事役にロバート・デュバル、高慢な刑事役にレイ・リオッタなど大物をキャスティングしている割には彼らがいまいち機能していなかったのが残念。ドジってばかりで大した仕事もしてない。もうすこし見せ場を期待したのにちと肩透かし。
そんなマヌケな警察側と、悪として描かれた病院側、息子のために犯人となる主人公、そして彼を悲劇のヒーローとして祭り上げるマスコミ…という各々の役割が明確なので観やすかった。
ただ、それもあってか、以前どこかで観たことあるような展開も多々観られたのも否めない。病院ジャックという設定は目新しかったのだが。
粗さがしはやめよう。良い場面も沢山ある。
その中でも一番良かったのは終盤、危篤寸前の息子にジョンが話しかける感動的なシーン。このシーンは大仰なBGMもなく、カメラワークもシンプルだったのであまり鼻につかず、ベタなお泣かせシーンになるのを避けていた。
「世の中は不条理だ」といったニュアンスのセリフが劇中、何度か飛び出した。医療制度も含めた上で、結局のところ本作品のメッセージはそこに集約されるのではないだろうか。
「なぜ保険が適応されないだけで手術ができないのか」、「なぜ自分の息子だけが病気になるのか」、「なんで俺だけ…」など、誰にぶつけていいか解らない不満と鬱憤が映画の奥底から感じられた。
人間なら生きていて「何で自分だけ…」と嘆くことは誰しもあるはず。だからって運命を呪うのか。
そんな時こそ、ジョンの様に体制や社会に立ち向かうべきではないのだろうか。
「ヘミングウェイがこう書いている。 〈この世は素晴らしい。 戦う価値がある〉。 後ろ半分には賛成だ。」 (映画『セブン』より)
モーガン・フリーマンが『セブン』の最後に残した言葉である。モーガンに賛成だ。
びびっと★評価 ★★★★☆ 子供のいる親御さんにはぜひ観てほしい作品。

ストーリー*ロンドン郊外の中学校で歴史を教える初老のバーバラ。彼女の勤める学校に美しい美術教師シーバが赴任してきた。生徒や同僚からも人気で注目を集めるシーバに堅物なバーバラも次第に興味を持ち始め親交を深めていった。そんなある日、バーバラは校内でシーバが15歳の男子生徒と淫らな行為をしている現場を目撃してしまう・・・
「女教師が15歳の生徒に恋をする」という禁断のストーリー・・・と思いきや、
蓋を開けてみると、女と女のドロドロした部分が描かれたスリラーでした。
生徒と関係を結んだ問題はあまり重要ではなく、その秘密を知ったバーバラがいかにしてシーバに近づくか…に焦点が絞られて構成されています。
何といっても主演二人の演技合戦が最大の見所です。
二人の鬼気迫る名演のおかげで飽きることなく観れましたし。さすが両者ともゴールデングローブ賞にノミネートされただけあります。
美人教師役のケイト・ブランシェットは魅力的で困りましたね〜。こんな先生が担任なら恋しても仕方がないって!あと、この人は本作のように前髪を下ろした方がキレイなのがわかりました。
そして大御所、ジュディ・デンチは怖い!の一言に尽きます。『ミザリー』のキャシー・ベイツ並の恐ろしさ!ケイトに対する嫉妬心、同性愛的な偏った愛情表現がなんとも不気味!
老体をさらけ出した入浴シーンは違う意味で恐ろしかったですが・・・ね(笑)。(あれはサービスショットなのだろうか?)
ラストのオチはB級サスペンスにありがちなベタな終わらせ方でしたが、全体的にテンポも良く、90分と尺も短いのでオススメです。
びびっと★評価 ★★★★☆ 身の毛もよだつ思いがしたい女性にお薦め。
『ジェシー・ジェームズの暗殺』(現在公開中)

監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット,ケイシー・アフレック,サム・シェパード
製作年・国:2007/米
ストーリー:アメリカの西部開拓時代に仲間を率い強盗と殺人を犯しながらも民衆からは英雄、と称えられ、当時は彼を扱った三文伝説も出版されたほど伝説のアウトローがいる。
男の名前はジェシー・ジェームズ。彼の首には一万ドルという破格の懸賞金がかけられ、最終的には彼を崇拝するあまり仲間に入った若者:ロバート・フォードに銃で頭を打ち抜かれて暗殺されてしまう。ロバート・フォードは英雄を倒した男となり新たなヒーローになるはずだったのだが、丸腰の状態で、さらには背後から暗殺したことが大きな足枷となりアメリカ一卑怯な男として人々に記憶されることになってしまう・・・。
ブラッド・ピットが西部劇に挑戦?ケビン・コスナーじゃあるまいし・・・!
と、観る前は思ってたんですが、中身はウエスタンではなく男たちの駆け引きをあぶり出した心理ドラマでした。そういう解釈をすると本作と同じプランBが製作を務めた『ディパーテッド』に近いかもしれません。他にはカリスマに憧れた男が殺意を覚える、という部分は最近観た『チャプター27』というジョン・レノンの暗殺を描いた作品に近かったですね。あとブラッドは『ファイトクラブ』しかり、男に憧憬を抱かれる役が似合いますよね。
上映時間が160分と結構長いです(当初は4時間ぐらいあったそうで、これでも結構削ったそう。ヒェー!)。
まぁウエスタンに良くありがちな列車強盗シーンも冒頭に一回だけで後は淡々と人間模様が描かれるので多少、退屈に感じられるかもしれませんね。でも僕はこのゆったり感好きです。シーンとシーンの繋ぎに色あせた大平原と真っ青な空のカットが挿入されるんですが、これが風景画のように撮られており良いクッションになっています。
あと列車強盗のシーン!蒸気の中からブラピ演じるジェシー・ジェームスが登場するシーン!あれは身震いするほどカッコ良かったなぁ。このシーンでジェシーが初めて観客の前に現れる設定だったらもっとクールだったかもしれませんね。撮影監督はロージャー・ディーキンズという人物。調べてみるとこれまで『ショーシャンクの空に』、『オー・ブラザー』『ファーゴ』などを手掛けたそう。どれも名作・・・特に『ファーゴ』の映像は圧巻でした。今後とも要チェックですね。
ケイシー・アフレックの演技も良かったですね。ジェシーに憧れ、ホモセクシャルにも似た恋着を抱きつづける前半〜いつしかそれが恐怖や憎悪に変容する後半・・・。どちらも素晴らしい。ブラッドがベネチア国際映画祭で主演男優賞を撮れたのも彼の受身の演技があってこそです。もちろんブラッドの演技力も絶賛された理由がよくわかる名演でした。
結末はわかっているにも関わらず、映画全編に渡り息つく間もないすさまじい緊張感が漂ってます。これはやはりアンドリュー・ドミニク監督の手腕。ブラッドがスコセッシの『ミーン・ストリート』に並ぶ名作、と絶賛した『チョッパーリード 史上最凶の殺人鬼』(00年)も観たくなりました。
上映時間も長く、西部時代を扱った映画なのに銃撃戦もほぼなく、決して一般受けしそうな映画じゃないのですが、どこかヨーロッパ映画の香りもするアートっぽさが感じられて好きです。
びびっと★評価 ★★★★☆